その頃、私はビジネスコンテストで敗退を重ねてばかりいた。
サービスをつくるには、一つの分野にたいする熱い思いのようなものがなくてはありきたりの発想しか出てこない。そう考えるようになり、自分の考える既存のサービスどうしを組み合わせたようなビジネスプランが嫌になっていた。
だからアトコレの増資の件をベンチャーナウ(インターネットベンチャーに特化したニュースサイト)で知った時は、「アートに対する熱い思いがあるからこそ、このサービスが生まれたんだな」とつくった人にあったわけでもないのに勝手に思いを巡らせていた。そして自分も「単に今モバイルやGPSが来てるから」、「市場が伸びるから」とか抜きに「コレを解決したいんだ!」と声を大にして言えるようなものをやりたいと思うようになっていた。
そんな風にいろいろ思いを巡らせる中、私の尊敬するオフィスドアッシュの東出さんもアート系のサービスをリリースしたので 紹介したいと思う。
このサービスを一言で言うのなら、アート版マイクロファウンディングといったところだろうか。
モデルは以下のとおりで、複数人で一人の芸術家の活動を支援しようというものである。
このアイディアは、芸術作品を購入する人が「なぜ購入するのか?」と考えた時に、それは「所有したいという」欲求から来るものではなく、アーティストの描く世界観に共感したかったり、コレクター同士で交流したいという潜在的な欲求から来ているものではないかという仮説のもと生まれたと教えてくれた。
東出さんはこのPICE UNIQUEを通してもっと手軽にアートをみんなが楽しめるようになって、消費者とアーティストの距離感を短くしたいとのこと。
アートの購入は、所有欲からではないという大胆な仮説は自分では決して持つことができなかったが、やはり新しいモデルを生み出したかったらこういう鋭い独自の仮説を持つことが何より大切なのではないだろうかと感じた。
ちなみに、東出さんもブログを描いているので、是非よんで頂きたい。